JICAで空手道を仕事にする(メリット・デメリット編)

今回はJICAを利用して、空手道を仕事にする方法について書いていきます。

JICAとは?

皆さんはJICAと言う組織をご存知でしょうか?
”青年海外協力隊”と言う名称なら聞いたことある方もいるかもしれません。

JICAとは、独立行政法人国際協力機構(Japan International Cooperation Agency)の略称で、外務省が所管する。
政府開発援助(ODA)の実施機関の一つであり、開発途上国等の経済及び社会の発展に寄与し、国際協力の促進に資することを目的としている。

要は、開発途上国への支援を行う団体である。

支援といっても、様々な支援の方法があり、

・技術協力・円借款・無償資金協力・民間連携  など

数多くの支援を実施している。
冒頭で紹介した、”青年海外協力隊(現、JICA海外協力隊)”は技術協力の事業として行っているものである。

青年海外協力隊はどんな仕事?(空手道職)

派遣される国によりミッションは違いますが、”空手道”の職種は、どの国でも技術伝承を主としています。

派遣される機関は、
・国、地域代表チーム
・軍隊
・公安
・学校
といった、行政機関に送られます。

職務時間や形態は、配属先の方針に準し、JICAが介入することはほとんどありません。(規定違反や安全を損なう状況であれば、JICA職員・通訳者が配属先へ指導を行います)

筆者もベトナムへの派遣歴があり、選抜チームでの指導をミッションとしていました。
指導は、月曜〜土曜で1日3部(朝・昼・夜)行われ、中学〜大学生のコーチを任されていました。

筆者の知人は、消防学校の格闘技訓練(ベトナムは、消防と公安が同じ機関である)の指導者として活動しており、授業の一貫のため週2回のみの職務でした。

このように職務形態はそれぞれですが、自らイベントを開催したり、指導場所を増やすことも可能です。
筆者は、近所の小学校で放課後空手クラブを結成し、週に一度指導に出ていました。

”アフリカで井戸掘り”をするようなイメージを持たれていますが、派遣国によっては日本の地方よりも発展した地域で高度な指導を要求されます。

メリット

資金面が充実

1番気になるのが、資金面ではないでしょうか?

協力隊では、
・渡航前の準備金
・滞在中の現地生活費
・滞在中の国内への手当
・帰国準備金および国内復帰手当
以上の資金が隊員へ支払われます。

現地での生活費を支給内で収めることができれば、帰国後約200万円が口座に入っていることになります。

その他にも、医療費・移動にかかる交通費(公務のみ)・携帯代・公務で必要な物等は別途支給されるため、手出しで何かをすることはありません。

実績・経験

実績作りにおいて、これほどインパクトのある事業はありません。
あなたが今後、空手道で仕事をしていく上で、「〇〇国にて、ナショナルチーム指導」などの肩書きがあるのとないのでは、印象がガラリと変わります。

また国同士の交流になるので、普段旅行で行っても会えない・入れないところへ行くことができます。
パスポートも緑色の公用旅券が発行され、入国のイミグレーションでは別のルートを通ることができます。

筆者が隊員の際は、皇太子殿下(現、天皇陛下)とのご接見や、外務副大臣との会食などを行う経験をしました。

職務経歴だけでなく、人生経験としても貴重な体験を行うことができます。

派遣国とのパイプ

2年間の活動を行うと、信頼のおける仲間を作ることができます。
帰国後、その国の製品や特産品を輸入し、日本で商売を始める協力隊OBは数多くいます。

筆者は、繊維大国であるベトナムから空手道着を輸入し、オリジナルブランドを立ち上げました。

このように、派遣国とのパイプを今後の人生のキャリアにすることができるのも、協力隊の強みです。

多種多様な専門家と繋がる

JICA海外協力隊は200種以上の職種があります。

一つの派遣国でも数十の職種の隊員が派遣されます。
そういった各業界のプロフェッショナルと繋がることで、滞在中の問題や、帰国後のキャリア形成に役立てることができます。

また同じ派遣国の隊員だけでなく、同じ時期に渡航する同期隊員とは、70日間の派遣前訓練で共同生活をするため、アフリカ・中東・アジア・南米など様々な地域に渡航した隊員と繋がることができます。

言語の習得

派遣国の言語をマスターすることができます。

英語圏だけでなく、マニアックな部族の言葉を話す隊員もおり、それれらのスキルは東京オリンピックで、政府からサポートを要求される程です。

日本で数人しか話すことのできない言葉をマスターすることができるかもしれません。

筆者も、帰国後にベトナム語を使用し仕事を獲得した事例もあります。

デメリット

リスクヘッジにより強制帰国等の可能性がある

国家主導の事業のためリスクヘッジに過敏で、少しでも危険性を感じると、自宅待機や国外への避難を命じられる。

今回のコロナ騒動では、全世界に派遣された隊員が、途中帰国を余儀なくされた。
海外ではデモやテロリストの襲撃、海賊や山賊の出現など日本では考えられない事件が多発する。

そう言った事態に陥る前に、避難や帰国を命じられます。
裏を返すと、安全性が高いことが言えます。

医療体制

事件以外にも気をつけなければいけないことはたくさんあります。

その一つが病気です。

マラリア・デング熱・狂犬病など日本では起こりにくい病気で命を落とす人が多発する地域があります。
もちろん事前にワクチンを打って渡航になりますが、全ての病気をカバーできる訳ではありません。

緊急を要する病気によっては、国外の大病院へ緊急移送などの処置もあります。

またさほど大きな病気でなくとも、地方に派遣された隊員は、信頼のある国内の病院へ自力でいかなければなりません。(大抵都市部にあるため移動が必要)

保険に入っているため無料で医療を受けれますが、病院が身近でないというのは、一種の不安要素にもなります。

ストレス(個人差あり)

言語も文化も違う中で生活し、ほとんどの場合日本人が近くにいることが少ないため、ストレスとどう付き合うかはかなり重要な問題です。

特に派遣されて数ヶ月は、言語の壁と同僚たちとの信頼関係構築のため気疲れもあります。

ストレスが原因で病気を発症し、帰国になるケースも珍しくはありません。

これらの対処法としては、
・期待しない
・まぁ、こんなもんか
と考えることです。(経験者持論)